このたび第35回日本レーザー医学会総会を平成26年11月29日、30日に、東京新宿、京王プラザホテルにおいて開催する運びとなりました。日本レーザー医学会は平成21年に日本医学会に加盟することができ、厚労省に直接ものが言える学会となりました。これは非常に意義深いことです。何故ならば、このたび各学会が標榜していた専門医制度が見直されることになりなりましたが、これでレーザー医学会も厚労省が認める新しい専門医制度の土俵に立つことができるようになったからです。
もともとレーザー治療はレーザーの有する高い熱エネルギーで組織を焼灼するレーザーメスとして発展したもので、止血が容易というメリット以外に、通常のメスでは手が届きにくい部位の手術が可能という利点を有していました。しかも光ファイバーを使用することにより、開腹や開胸することなく内視鏡下で癌などの腫瘍の切除・焼灼ができ、さらにPDTなどの治療も開発され、レーザー治療は極めて有用な治療手段となっています。ところが皮膚病変は通常の外科手術で治療が可能なため、皮膚科領域ではレーザー治療はあまり発展してきませんでした。しかし1983年にselective photothermolysis(SP)という治療指針が発表されました。ちょうど私はこの時期にハーバード大学に留学する機会があり、R Rox Anderson教授(当時は皮膚科レジデント)らと共同研究を行い、SPがアザの治療に極めて有用であることを証明しました。その後SPに基づいた治療は爆発的に普及し、今やレーザー治療は皮膚科に必要欠くべからざるものとなりました。さらに最近は皮膚の若返りなど、美容領域にも幅広く応用されるようになっています。
このたび私は、日本レーザー医学会では最初の皮膚科出身の大会長を拝命しましたので、その発達が著しい皮膚科領域のレーザー治療を幅広く取り入れたシンポジウムを多く計画しております。勿論従来の皮膚科以外のレーザー治療も満遍なく組み入れていますので、すべての領域の先生方に満足していただけるものと確信しております。
第35回総会のテーマは「エビデンスに基づいたレーザー医学(Evidence Based Laser Medicine)」とさせていただきました。これはレーザー治療には新しいものから古いものまでたくさんあり、特に新しい治療はエビデンスの蓄積が少なく、十分の議論が行われていないものも少なくありません。また古いレーザー治療も、当たり前すぎて治験が行われていないものも多くあります。そこで最新のエビデンスは勿論、エビデンスがまだ十分でない治療も含め、多くの演題を募集しております。勿論メインテーマに限らず最近のトピックや臨床経験からの話題も多く紹介して頂きたいと存じます。
また企業展示では、ハンズオンセミナーを開催し、参加者が実際にレーザー装置を手に取って扱う体験ができるように工夫したいと思います。参加して良かったと実感できるような学会にしたいと思いますので、是非大勢の方をお誘いして参加して下さい。心よりお待ちしております。
第35回日本レーザー医学会総会 会長 渡辺晋一